歯周病患者のインプラント治療

監修医より

歯周病患者でもインプラントはできる場合がある

結論から言えば、歯周病患者であってもインプラント治療をすることができます。ただし、注意しておきたいことは「歯周病を治してからインプラント治療を行った方がよい」ことです。

残念ながら、歯周病患者のインプラント残存率は低いとされています。歯茎が弱っているため、当然の結果だといえます。少しでも長く使うためには、健常な状態にした方がよいわけです。

また、インプラントは歯周炎になるリスクがあるため、きちんとメンテナンスを行っていくことも重要になります。

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歯周病の人がインプラント治療を断られる理由

人工物であるインプラントは、天然の歯と比較して歯石やプラークが付着しにくいと思われがちですが、実際にはその逆で、汚れが付着しやすく取れにくい性質を持っています。血管が通っていないために身体の防御機能も十分働かず、細菌感染も起こりやすいです。

インプラント周囲炎のリスクが高まることがある

歯周病患者がインプラント治療を受けた場合、施術が原因でインプラント歯周炎になるリスクが高くなります。これは、腔内に細菌が残っている可能性があるからです。そして、この細菌が原因で、インプラント周囲炎と呼ばれる合併症の中でも最も深刻な症状を引き起こすリスクも高まってしまいます。

歯周病で歯が抜けてしまった場合の弊害について

歯周病が原因で歯が抜けてしまうと、インプラント埋め込むことが難しい状況を作ってしまう可能性があります。理由は、顎の骨が減ってしまっているからです。骨が減ったとしても、昨今の医療技術であれば装着できる可能性がありますが、やはりできないケースだったり、リスクが大きくなってしまうデメリットがあることは理解しておきたいところです。

メンテナンスの意識を高めればリスクを小さくできる

ただし、上記に関しては、しっかりとメンテナンスを行っていけばリスクを減らすことは可能です。メンテナンス意識を高めていくことを、強くおすすめします。

歯周病患者のインプラント治療の現状

日本歯周病学会会誌によれば、歯周病患者へのインプラント治療として、大臼歯を喪失した患者に対しても、咬合支持獲得に効果的とされています。インプラントの5年成功率は下顎大臼歯であれば95.3%、生存率であれば5年で100%という結果が出ています。

下顎と上顎では、インプラントの固定性補綴装置の生存率が異なります。下顎の場合、上顎よりも6.6%も生存率が高くなるとされています。

歯周病で骨が減少した患者への症例

患者は43歳の会社員で、10年以上前から歯に疼痛があり、投薬・抜歯で処置するも歯周病の治療は受けていなかった状態です。口の中は決して清潔と言える状態ではなく、歯周病になってしまうのもやむなしといったところです。その結果、歯の欠損や隣接歯が傾斜移動など、かなり歯が傷んでいる状態になってしまっています。

この状態ではインプラント治療ができないため、まずは膿の除去、歯間部清掃など応急処置をして歯周病を治療していきます。その後、精密検査を行い骨増大術のサイナスリフトを行い土台を作ります。そこにインプラントを埋め込み完了です。治療後、メンテナンスでは、歯周ポケットなどに注意をしていったところ、減少し歯肉の炎症も快方に向かっていったという症例になります。

参照:歯槽骨吸収が高度な慢性歯周炎患者に対する骨増大術を併用した骨接合型インプラントによる歯周治療

インプラントの形態によっても成功率は若干異なる

インプラントにはいくつもの形態があります。形態によって成功率が大きく変わることはありませんが、テーバード型とストレート型では、後者の方が成功率は高くなることが、日本歯周病学会会誌では紹介されています。

ただし、テーバード型は隣接歯との狭窄した歯列やアンダーカットのある歯槽骨にも用いられているように、その導入例が多いということを考慮する必要があります。

参照:明海大学歯学部:歯周病患者に対する骨接合型インプラントの治療成績に関する臨床的研究

歯周病の人がインプラントを受けるには

歯周病の人がインプラント治療を希望するのであれば、以下の2点を確実にクリアする必要があります。

現在発症中の歯周病をしっかり治す

先ずは現在発症中の歯周炎をしっかり治す必要があります。歯周病は歯を失う主たる原因と言われている病気です。原因となる歯石やプラークを取り除き、歯周病菌を除去する治療が必要です。

ただし歯石が歯周ポケットの奥に付いてしまっているプラークに関しては、自宅での歯磨きでは除去できず、歯科医院での専門的なクリーニングの施術が必要です。

正しい歯磨きを継続してインプラント歯周炎を避ける

歯科医院でクリーニングが施された歯も、正しい歯磨きを継続しなければ、歯周病再発のリスクが避けられません。そのためには正しい歯磨きの仕方を教わり、日々確実に実践することが大切です。この点は歯周炎が治ってからインプラント治療を受けて装着した人工の歯に関しても共通しており、インプラント歯周炎の原因となるリスクが見過ごせません。

インプラントは素材も形状も天然の歯根とは異なっています。天然の歯に用いる治療器具では汚れが落としにくく、インプラントに傷がつくこともあります。

インプラント歯周炎とは

歯石やプラークの中に存在する細菌が原因となり、インプラントとそれを支える葉肉組織が炎症を起こしている症状が、インプラント歯周炎です。

インプラント歯周炎の症状

インプラント歯周炎の初期段階では、痛みなどの自覚症状がない場合も多く、ある程度症状が進行した場合も、天然歯のようにグラつくことはありません。このため初期段階での発見が難しいのが特徴です。

進行状況によってインプラントと周囲の粘膜のみに炎症が認められる初期症状のインプラント歯周膜炎と、顎の骨まで炎症が達したインプラント歯周炎にわけられます。

正しい歯磨きの重要性

人工歯のインプラントに歯石やプラークを沈着させないためには、歯科医院で正しい歯磨きを学び、しっかり実践する習慣を身につけましょう。定期的なメンテナンスを行えば、初期症状も早期に発見でき、速やかに専門医による治療を受けることも可能です。

明敬会のインプラント歯周病に対する取り組み

明敬会ではインプラント歯周病の発症率を抑え、インプラント治療の成功率を上げるべく、十分な前処置を心がけていることが特徴です。また、合わせてメンテンナスも重要視しており、しっかりとサポートをしていきます。

歯周病治療に関して

歯周内科で薬による歯周病治療、もしくは外科治療を通じた歯周病の改善から着手します。歯周内科では顕微鏡を用いて細菌感染の有無を確認し、必要に応じて抗生剤・シロップを使用した術前除菌を行います。

また葉肉に歯石が深く沈着している場合には、インプラント挿入前に終始外科施術を行い、細菌感染のリスクを回避します。これはフラップ手術と称され、歯肉を切開して歯を支える骨からいったん剥離させ、沈着した歯石やプラークと、細菌でダメージを負った部分を除去し、歯肉を縫合する施術です。

手術後のメンテナンスに関して

メンテンナスはインプラントを長持ちさせるため、そして口腔内を健常に保つために行います。インプラント治療を行うと、どうしても周囲炎のリスクが発生します。これを防ぐために、口腔内の洗浄し炎症を起こさないように注意していきます。かみ合わせのチェックを行ってインプラントや身体に負担をかけないようにしていきます。

参考文献

免責事項

医療法人社団 明敬会

タキザワ歯科クリニック

03-3685-1444

湘南藤沢歯科

0466-37-3090

一般的な費用相場

190,000~400,000円程度(税抜)

※インプラント1本の埋入価格

【インプラント治療にかかる期間】

インプラント治療にかかる期間は、平均6ヶ月~12ヶ月。

主なデメリット

歯茎の骨の形状、神経の走り方によって受けられない人がいる。

監修者紹介

滝澤聡明

滝澤 聡明医療法人社団明敬会 理事長

滝澤理事長の運営するクリニックでは、全国のクリニックでも数少ない「全症例の9割近くをフラップレス手術で行っている」クリニックです。

患者さんのためになる施術・カウンセリングを心がけており、フラップレス手術を推進するのもその思いがあってこそ。

「医療は絶えず変化するもの。だから自分の医院の診療もその変化に必ずついていく」という考えのもと、新しい技術を積極的に取り入れています。

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ヘルスケア編集部全研本社株式会社

歯を失った場合の治療として、主流になりつつあるインプラント治療。しかしフラップレス手術は、ネット上はおろか書籍でもまだまだ情報が少ない治療方法です。

「メスを使わないインプラント」は、我々患者にとってメリットが大きいはず。そこで当編集部は、フラップレス手術を前面に押し出している医療法人社団明敬会に取材を申し込みました。

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